続けて行きたい…新年の「和食文化の習慣」
元旦のおせち料理、そして雑煮に始まって、 お正月は、決まったものを食べる習慣があります。
元旦は「おせち料理」そして「お雑煮」、7日にはお餅を入れた「七草がゆ」、11日には鏡開きで「ぜんざい」や「お汁粉」、そして15日には「あずきがゆ」。
時代が変わっても、続けていきたい和食文化の習慣です。
おせち料理
日本には四季があります。
その昔は暦の上でそれぞれの季節を、初、仲、晩に分けて12の季節を設けました。そしてさらに細分化して、24節気と言う、暦と実際の気候との差を解消する為のことがらを定めました。
その節目が節句になります。これは奈良時代の節会(せちえ)と言うものが元になっていて、江戸時代になってから、農家や武士に関係のある日を特に選んで五節句として祝ったそうです。ですから、もともとは端午、や七夕など年に5回の節句のときにごちそうをいただいていたんですね。
しかし、お正月がいちばんごちそうが多かったので、その時の料理を特におせち料理と呼ぶようになったのです。
おせち料理は一年の一家を守ってくれる年神様と一緒にいただくことで、神様と一体化するという意味を持ってます。ですから、おせち料理を重箱に詰めて、まず床の間などに備えるのが本来の姿になります。
「鏡餅」の意味
僕がまだ子供だったころは、年末にお餅をつき、大小2つを丸く整えて「鏡餅」を飾っていました。
そもそもこの習わしは、秋のお米の収穫に感謝をして家神様に供えたことからだそうです。さらに、鏡餅を古鏡に見立て、そこには神様が宿ると信じていたからだそうです。そして、鏡餅をいただくことで神様の力を身体に迎えて、健康や平安を願う・・・ですから、本来鏡餅は丸い必要があるのですね。
まあ、いまはプラスチックで形だけ丸く整えられていて、中にはキチンと包装された四角い餅が入っていますが。僕は厳格な神道ではないので、その売っているものをお供えしているのですが、これはこれで便利で良いし、合理的だと思います。
本質は、鏡餅の意味を多少なりとも知っていることが大切だと思うからです。
と言うことで、日本では昔からお正月の間、様々な料理でお餅をいただくわけです。
元旦「お雑煮」
元旦から振り返っていただくお餅は、まずは「お雑煮」。
これは関東と関西だけに限らず、場所や地域、そしてご家庭によっても違います。僕の家の場合は、出しと鶏肉をベースにした関東風です。
ちなみに、お雑煮の餅を「焼いてお椀に盛ってから汁を張るのか?」「煮汁と一緒に餅を煮るのか?」も様々あるようです。個人的にはどちらも好きですが、最近は焼いて香ばしい感じの餅が好きなので前者の方でいただいてます。
3日に食べる「三日とろろ」
新年の3日の朝いただく料理が「三日とろろ」。山芋を擦って出しで割りご飯にかけていただく料理です。
三日とろろは、1月3日に長寿や健康も祈念しながらいただく体に優しい料理です。さらに、おせち料理などのご馳走で疲れた胃腸を整えると言う効果もあるようです。
7日に食べる「七草がゆ」
7日の朝にいただくのが「七草がゆ」。
以前から疑問だったのですが、寒いし、場所によっては雪があったりする時期なんですが、どうやって七草を採っていたのでしょうか?少なくても僕の生息している長野県では、自然の七草をこの時期に採り集めることはかなり難しいって思います。
七草の若芽の力強い息吹を身体の中に取り込むことで無病息災を祈ったと言う「七草がゆ」。
飽食の時代である今では決して「美味しい」と言うわけではないのですが、それでも身体がリフレッシュする感がありますね。
まあ、その疑問は置いておいて、いまはセットになっているものが売っているので大変便利です。
11日は鏡開き「ぜんざい 」
お雑煮と七草がゆに入る餅は、当然ながらお供えしてある鏡餅ではありません。
鏡餅を下げるのは11日の「鏡開き」です。下げた鏡餅は包丁で切ると縁起が悪いということで木槌などで叩き割ったりします。
本当にお供えしてあった鏡餅って硬いんですよね・・・そして「カビ」が発生していたりするんですよね。
子供のころはこのカビがどうも嫌で、下げた鏡餅はあまり好きではありませんでした。親は「餅のカビは食べても大丈夫だから…」と言っていましたが。
先にも書きましたが、今売っているパックされた四角い餅なら、風情もありませんがカビる心配もないですね。
その鏡餅を下げて作るのが「お汁粉」や「ぜんざい」。
ちなみに「お汁粉」と「ぜんざい」の違いは、小豆を煮てそのまま甘味を付けて作るのが「ぜんざい」で、小豆であんこを作ってから、それを溶いて作るのが「お汁粉」。ですから、缶詰の小豆を使って「お汁粉」を作るのが一番簡単なんですが、今年は生の小豆を煮て「ぜんざい」を作りました。
手作りだと甘さの調節ができるのが良いですね。また、手作りだと小豆の柔らかさの調整もできますから、小豆自体の風味も味わえて、豆としての食感も感じることができますね。
15日は小正月「あずきがゆ」
15日は「小正月」。朝、15日がゆとして「あずきがゆ」をいただきます。
先日知人と話していたときに「そう言えば、15日ころを小正月って言ってたよね」と言う話になりました。
ご存知の通り、2000年までは15日が成人の日だったんですね。 だから15日を挟んで連休があったりしたので「小正月」と言う言葉に結構馴染みがあります。
「あずきがゆ」はご飯と一緒に小豆を煮て作ります。美味しいところは生の砂糖を好みで振りかけていただくところ。これが美味しいんです。。。
食を通してその文化的な習慣に触れる
実は、今回お話をしたことにはいろいろな習慣が絡み合っています。
例えば、門松や正月飾りを下げる「松の内」は関西では15日までのようですが、関東では7日のようです。実際に僕の生息しているところでも、7日に下げて9日にどんど焼きをしています。
また、鏡開きも一般的には11日ですが関西地方などでは15日のところもあるようです。
考えてみたら7日までが松の内とするとその後も鏡餅を飾っているのも変だし、さらに小正月との整合性も取れませんよね。ですから、僕の場合は食と言う面だけをクローズアップしていろいろな習慣を絡めています。
1日にお雑煮をいただき3日に三日とろろをいただきます。そして、7日に「七草粥」をいただき門松や飾りを下げ、11日に「鏡開き」として鏡餅を下げ「せんざい」や「お汁粉」をいただき、さらに15日に「小正月」として「あずきがゆ」をいただく・・・。
必要なことは、その食文化習慣の多少のいわれを知っていることと食を通してその文化的な習慣に触れること。そして、今年一年の健康や平安を祈願すること…だと思います。
ぜひご家庭で子供さんに食べていただきたい食習慣だと思います。
「なんであずきがゆを食べるの?」と聞かれたら、にわか知識でもよいのでいわれを話してあげて欲しいって。
子供さんが独立してから食べなくなっても何気に「そう言えば子供のころ15日にはあずきがゆを食べてたっけ…」と思い出してもらえば。
そして、子供さんが自身の家庭を持ったときに、よし作ってみよう、って思ってもらえば。
鏡餅が丸くなく、四角でも…
松の内が7日でも15日でも…
そうやって続いていくのが家庭料理のいいところ…だと思います。
(参考:柳原紀子さん、婦人作法「おかずのクッキング・2014−2015、12月1月号」より)
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