
山菜の味わい方
山菜にはそれほど独特の味自体はないと個人的には思っています。
例えば、ふきのとうにしても、独特の苦みと風味がなければ、変な話草っぽいですよね。わらびにしても、あのヌメリと風味がなければそれほど美味しいと思えない部分があります。
これはすべて山菜のもっている「あく」の部分が醸し出している個性と言えます。ですから、「あく」を必要以上に抜いてしまうことがないように料理をするのが一番おいしい食べ方と言えます。
これは「あく味」と言って美味しさのひとつです。東北地方ではこれを「きどみ」と言って、マイナス要素としての「あく」という意味はなく、むしろ濃厚な風味という意味があると聞きます。
また、山菜はその時の季節の一瞬を切り取っていただくもの。ですからまさにスローフードと言えます。そこには旬のはしりを競った栽培の野菜などにはない季節の趣があります。それを楽しむのも山菜料理の味わいのひとつと言えます。
ですから、山菜料理は出来るだけシンプルに素材の味を楽しむということが良いと思うのです。
( 左:たらの芽 中:しおで 右:はりぎり )
■山菜に適した料理方法
山菜の料理方法はそれほど多くはありません。
天ぷら、おひたし、和えものがほとんどです。もちろん煮物や炒め物もありますが、シンプルに味わうには、先の料理方法が適していると思います。
それぞれの山菜ごとに適した料理方法はありますが、一番のポイントはやはりお好みということになりますので、可能であればいろいろと試してみることをおすすめします。
■「あく」のある山菜の基本料理
うど、こしあぶら、タラの芽などのウコギ科の山菜やよめな、よもぎなどのキク科の山菜は「あく」が強いので天ぷらやごまあえなどの脂肪分を加えた料理が合います。
こしゃくなどの香りのあるセリ科の山菜も天ぷらが合いますが、汁の実やおひたしでも美味しいです。
■苦味のある山菜の基本料理
ふきのとう(ふき)、たんぽぽなどの苦みのある山菜は、天ぷらなど油を使用した料理にすると苦みが多少抑えられて美味しくいただくことができます。また、酢の物や甘酢漬け、酢味噌和えなどにして苦味を和らげるような料理でも、その苦味が逆に美味しさになります。
■酸味のある山菜の基本料理
いたどり、ぎしぎしなどタデ科の山菜は酸味があります。それを生かして酢の物や酢味噌和えになどに適しています。
■ぬめりのある山菜の基本料理
おおばきぼうし(うるい)、やぶかんぞう、うわばみそうなどのぬめりのある山菜は、このぬめりを生かして、酢やからしを使用した料理に適しています。